------森の力は恢復しているか-----

舞台写真
<左から> 下條世津子 根本陽子
カジの病室。
カジが同時に読み薦めている本が十冊近くベットの裾にまで落ちている。

 

カジ
この世界で、もうあまり時間がないからね、僕には。 幾冊もの本に転々と泊まり歩くようにしないことには どうにもこなせないんだよ、数が・・・・

隊員2

水夫の花嫁は海
死者たちは海底では立っているそうな
骨が休むまでは 直立の泳者なのだ
中身のなくなった肋骨のなかでの魚たちの交合
頭蓋のなかには貝たち
渇きは火
水とは皮膚のうえで燃えるもののこと
飢えは歯肉を反芻し 唇が塩を噛む


アルゴー船の隊員たちが静かに近寄り
カジから本を持ち去る

 

舞台写真
<左から> 下條世津子 根本陽子
-----幸福な歌-----

 

ディレクター 

以前からきみを知っている人たちは、御両親もふくめて、こんなに元気になったきみに驚いているよ。やはりきみたちの指導者の治癒能力による恢復だと思いますか?

 

カジ

僕にはっきりいえることは、ほかには何もやってないということだけです。ギー兄さんは森のことをやってる人なんです。僕はその人に治してもらっています。ギー兄さんが、どうしてこんなに熱心に僕のことをやってくれるのかわからないですよ。
あえて、想像をいえばね、僕が死んでしまえば、日本も、世界も、宇宙までもが無くなってしまうからじゃないですか? アハハ、冗談、冗談!

 

 

カジが黒い大きな旗をもって立っている。

「幸福な歌」!

野原を不幸が
駆けてくる
遠くを
雲の影のように


カジがゆっくりと黒い旗の上に倒れていく。

舞台写真
<左から> 笹木恵子 坂尻明美 壷本太史 市川幸子 伊藤宏美

アリス

「チェシャ猫ちゃん、ねえ教えてくださらない。ここからどっちへ行ったらいいのかしら?」

チェシャ猫

それは、あんたがどこへ行きたいかによってちがうさ。

そうよ 私は町が好きだわ あたしの町がね
ベットの相手は選びはしないわ
お金をもらえば  なんでもやるわよ
私に残ってるすべてといったら
(このからだだけ 中身はからっぽ)
でもね一つだけとってあるの
ある日あたしを連れに来る船の夢
海の向こうからきこえる いさましい男たちの叫び声
8本マストに大砲が50門 町をねらう

だれもそれに気づかず私にいう
まだいたのかおまえさん
おまえは邪魔者 この町の恥  清潔な道路を汚すゴミ
ほら建設の広場 土の音
(あしたに羽ばたく市民の町)
そして港の騒ぎは高まり 市民のみなさまの顔が青ざめるの   
わたしは窓から身を乗り出して 男たちに手を振るわ
8本マストに大砲が50門 ドクロの旗  

サッチャンが歌う「海賊ジェニー」

舞台写真
根本陽子

 

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