貧乏女優タイトル アンゲルスタイトル


「リア王」稽古日記

(from Kanazawa)

9月1日

 今日は稽古は休み。
昼間は、手掛けていて、全然進んでいなかったチケット製作を進める。
印刷が終わればこの仕事も完了というところまでなんとかいった。
夜は、久しぶりの早い夕食。ホットプレートで、焼き肉をする。隣に住んでいる、岡井さんのお母さんも呼んでくる。
その準備の間、木沢さんから借りてきたプロジェクターで、本番を録画したものを部屋の壁一面に映してみる。
9月13,14日にやる企画は、ジャズと映像と芝居のセッション。
私と月原君は、別の芝居の本番が決まってしまったため、この企画には参加できない。
そのかわり、わたし達のある部分だけを抜いてビデオ撮影をする。
当日は、その映像を等身大で写し、他の役者がそれと絡む。
ハムレットマシーンからいくつかの台詞をパフォーマンス。
それとジャズトランペットの中山悟氏。
なかなか面白そうなのに、その場に居ないのが、とても残念。

9月2日

 5時に芸術村にいって、ミュージック工房の清水さんと話をする。
芸術村にはそれぞれのドラマ工房、ミュージック工房、アート工房、エコライフ工房にディレクターがいるようだ。
彼らはここから給料をもらっていない。ボランティアみたいなかたちなのだろうか。
みんな別に仕事を持っている。私が直接面識があるのは、ドラマ工房の青海さん、ミュージック工房の清水さんの二人。
青海さんは、役者さんだし、清水さんも音楽をやっている人だ。
私はこの一ヶ月、ほとんど毎日芸術村に通っている。そしてほとんど毎日彼らの顔をみているような気がする。
大和紡績工場の倉庫を買い取って改装してこういう空間をつくったのは金沢市だけれど、
殆ど白紙の状態のこの空間の使われ方を面白くしていくのは、こういう人たちなんだなあ。
真の意味の創造空間をつくるには、お役所的なものの発想ではだめだ。
「給料もらってないから勝手なことをいってられるのかもしれないけどね。」
といっていた清水さんの顔は、ふてぶてしくて(失礼!)いい顔をしてました。
6時から、13,14日のためのビデオ撮り。
芸術村のレンガをバックに動きまわらずに撮影。
編集しないで使うため、台詞は私と月原君だけ声を出して、他の役者さんはフレームのそとで口ぱく。
一発撮りだったせいか、終わったあとはぐったりと疲れてしまった。
家の近所の小料理屋で、夕御飯。
家庭的な味付けでなかなかおいしかった。

9月3日

 岡井さんが“たいちくん”の就職面談につきあって、先に出掛けてしまったので、タクシーで芸術村までいく。
アトムはいつも歩いていくが、面倒臭がりの私は、お金もないのに贅沢をする。1500円くらいだったかな。
今日の稽古場はエコライフ、映像で出演するはずの私は、映像のかわりにそこに立ち、稽古につきあう。
なんともみょうな、感じ。
今日の稽古で芸術村に来るのは最後、というわけではないが、しばらく訪れることはないだろう。
一ヶ月もよく通ったもんだ、と我ながら思う。
帰ってからの夕飯は、スパゲッティーでソースは二種類。そのほか、アトムがキムチ炒めやら、煮物やらをつくってくれた。
こんな、共同生活もあと少しで終わる。なんだか寂しいぞ。

9月4日

 昼間は笹木さん、橋本さんが岡井さんの家に来て、アトムと月原くんの4人でチラシやチケットのコピー、封書の宛名書きなどの仕事をしている。
私は、同封する手紙を編集する作業。
稽古は8時から。今日は芸術村がつかえないので知り合いを通して紹介してもらった少林寺道場の二階を借りる。
なかなか強い道場なんだそうだ。私も習ってみたいなあ。女性の館主? が教えていた。
8畳ほどのスペースなので立ち稽古と呼べるものは出来ないが、全体のイメージをつかむために位置関係を確かめながら台詞をしゃべる。
9月の台本は8月の上演台本からさらに、7割ほどカットした。
その合間合間に、私と月原君の映像が入る。
そして、コーディーリアのシーンに絡んだところで、パフォーマンスとして、新人類人猿の今井淑恵さんが入りこんでくる。
その間ハムレットマシーンのいくつかのテキストが読まれる。
そのほか、ジャズトランペッターの中山 悟さんが入り込んでくる。
映像、役者、音楽のセッションだ。
だんだんどういう構図なのか私にも見えてきた。
夜は、近所のお寿司やさんにいく。ネタは厚くて、でもご飯の量とちょうどよくて、おいしい店。
良心的なお店らしいですよ。

9月5日

 この夏のアンゲルス実験劇場「リア王」ワークショップに参加出来る最後の日。
でも私は9月分のパンフレットや、チケットを今日中に作らなくてはならないので、欠席させてもらいました。
夜11時頃、岡井さんから電話があって、ささやかな打ち上げを焼鳥屋さんでやるとのこと。
「新人類人猿」の若山さん夫妻と橋本陽子、アトム、岡井さん、月原君の7人でお疲れさん会。
私と月原君以外はまだ本番が残っているけどね。
若山さんと「また、ぜひ面白いことを一緒にやりましょう。」と約束してきました。
次なる企画を楽しみに。でも自分から動かなければ面白いことはやってこないのです。
こうして外の空気にふれると、東京での劇団のスケジュールに忙殺されていろんなことが見えなくなってしまっていたことに、
気づかされます。
酔っぱらうと料理を作り始めるアトムが月原君と、そーめん入り味噌バター味の豚汁を作り始めました。
これがうまかった。えっ? と思った方は作ってみましょう。おいしいです。

9月6日

 朝11時ころ、おばあちゃんが作ってくれたおにぎりを持って、岡井さん、月原君の三人で金沢の岡井邸を出発。
夕方5時頃、東京につく。
「東京演劇アンサンブル」での仕事がさっそく待っています。
来年の1月には金沢市民芸術村主催の「リア王」公演があります。
そのときまで、この日誌は一時中断ということになります。
ミュージック工房での様子は情報が入り次第お伝えします。

ここまで頑張って読んでくれたかた、本当にカンシャ! ぜひメールをください。お礼のメールを送りたいと思います。
このあとのわたしのスケジュールは、「奇跡の人」の旅公演です。
旅日記も続けて連載します。
スケジュールが過密になるので、一週間に一度の更新を目安にしていきたいと思います。
そちらもよろしく。